ここではアルティメットハンターが完成するまでのストーリーを紹介しています。商品の購入についてはこちらをご覧下さい。


写真提供 ワールドフォトプレス


北野エッジ + ZDP189 / ATS55のクラド鋼

現在考えられる最新、最良のマテリアルを用い、切刃にカスタムナイフメーカー、北野勝巳氏の設計による「北野エッジ」を採用したファクトリーナイフの紹介です。

デザインはカスタムナイフメーカーの北野勝己氏、材料となる粉末合金鋼、ZDP189とATS55は日立金属株式会社より供給を受け、製作は日本のナンバーワンメーカー(株)ジー・サカイ、熱処理はZDP鋼のオーソリティー八田工業株式会社、販売は弊社ファスナーズ・メールオーダー・システムが行います。このプロジェクトの発足に付きましては、前出の各社のほか、ワールドフォトプレス・ナイフマガジン編集部の多大なご協力を頂きました。

究極の切刃、北野エッジ

独自の発想とアイデアで抜群の完成度を持つモデルを製作するカスタムナイフメーカー北野勝己氏。そのバックボーンには冶金学や造形学、心理学、そして何よりも多くの経験と試行錯誤により得られた独自の理論があります。

北野氏のナイフに用いられている切刃、「北野エッジ」は、刃の厚みがあるにもかかわらず驚くほどの鋭さを併せ持ち、産毛がサラサラと切れていく様は、多くの人が経験したことのないほどの鋭さです。ナイフの切れ味を文章で表すのには限界がありますが、故、大藪春彦氏風に言うと、産毛が弾け飛ぶように剃れていくのです。しかしこれはまだ北野エッジの魅力の一端でしかありません。

以前ナイフマガジン誌上でも紹介された実験ですが、最初にサラサラと紙を試し切りした後、竹林に入って生竹を一刀両断、太い枝を慢心の力をこめて払ってみたり、極めつけには枯れて乾燥した竹をUの字にえぐったり、こじったりなど、ナイフにはもっとも過酷と思われる荒作業をこなした後に、再度、紙を試し切りしてみます。

驚いたことに北野エッジの刃先の鋭さは変わらず、最初と同じように、紙がサラサラ切れるのです。これは今までの刃物では、まず考えられないことで、通常ですと刃先がかけたり、めくれたり、ものによっては折れてしまいます。まさに驚くばかりの耐久性です。

これは北野エッジの最も優れた特長ですが、過酷な使用においてもその切れ味が変わらないのです。この高い耐久性は刃先の形状に起因しています。北野エッジは、左右非対称の切刃で、一方で食い込みを促進する直線的な角度と、もう一方で力を滑らして逃がし、マサカリのように耐久性を持たせた曲面とで成立しており、カミソリのような鋭さと食い込みを見せ、切断時のトルク負荷がわずかにもかかわらず、驚くような切れ味を示し、しかも強い入力に対しても刃先がカケたりめくれることなく、その切れ味が持続するのです。

この高次元で成立している、鋭さと高い耐久性が北野エッジの最大の特長で、現在最も優れたカッティングエッジであるといえます。

新素材、ZDPストーリー

『刃物鋼の日立として、世界一の刃物鋼材を作りたいという気持ちがありました。』 安来ハガネから始まった日立金属の一員として、あるスタッフがこういいました。刃物鋼の世界のトップメーカーとしてのプライドがこの鋼を生んだのです。


フジナンバーワン

社内開発番号がそのまま商品名になったZDP189は、ハイクローム、ハイカーボンの粉末合金鋼です。最良の方法でサブゼロ処理をすると、HRC硬度67から68で安定する高硬度を誇ります。また、マクロの単位での成分分布が均一で安定していますので、鋭い刃先にもかかわらず、鋭さと粘りを維持できるため、鋭い刃付けを可能にし、刃持ちよく、刃のカケがありません。また表面を鏡面に仕上げたときのその輝きにムラが無く、くもりのない美しい仕上げが可能で、高級ナイフにふさわしい鋼材です。

しかし、本来は原子力発電用の部品や、複雑な形状の精密部品用に開発されたこの鋼は、ファクトリーナイフの生産に使用するには価格が高いこと、熱処理前硬度が高いせいで、加工性に問題があることなど、大量生産に使用するには多くの課題がありました。それでもコストを考えずに数量限定で作られた、ZDP189の無垢材で作られた6インチウィルダネスボウイーはすぐに売り切れましたが、これはまさに製作に携わったスタッフの思い入れが作らせた最も贅沢なファクトリーナイフであったと言えます。しかし私たちのプロジェクトはここでは終わりませんでした。

画期的な素材が北野氏の提案の下に出来たのです。価格が手頃で加工性が高く、耐食性の高いATS34でZDP189を挟むというアイデアが実現したのです。これは、今まで主要鋼材として扱われてきたATS34をハガネとしてではなく、挟み込み鋼の側板として使用するという、大変贅沢で、誰も考えつかなかった方法ですが、これにより、ZDP189の持つ 硬くて穴も開けられない 思い通りに削れないといった高硬度鋼特有の加工上の課題がほとんど解決しました。コスト的にも現実的なものとなり、耐食性も飛躍的にあがり、錆に関しての心配がなくなりました。また長年市場にて使用されてきたATS鋼には鋼材としてのデータと実績があり、それは何よりも信頼できるものです。加えて面白いのは、ATS鋼とZDP鋼のクラド材(挟み込み鋼)で熱処理をすると、ZDP189はHRC68以上が可能となり、ATS鋼もHRC-62~62.5で安定するという、溶解鋼においては高硬度が実現したことです。これは予想外のうれしい出来事でした。これで最高の素材と、最高のエッジが出会いました。

フジナンバーワン − まずはフォールディングナイフを販売 −

このプロジェクトによるファクトリーナイフの第一弾として北野氏のデザインによる、刃渡り3インチのフォールディングナイフ、フジナンバーワンが発売されました。素材にはZDP189をATS55で挟み込んだものを使用しています。

シルエットはクラシカルなスタンダードデザインで、飽きのこないものです。つめ掛けのところが富士山をモチーフしている所からフジNO.1と名付けられたこのモデルは、今流行りの片手で出し入れできる、ワンハンドフリップモデルとは一線を画しており、刃を出してから使用し、刃をしまうまでの時間が長い、使用時にこそ最適となる重量とバランス、持ちやすさを優先して設計されています。しっかり出してしっかり使う。カッターナイフのようなワンハンドフリップモデルとは明らかに違うコンセプトとなっています。

アルティメットハンターシリーズ

「やっぱりシースモデルですね。」フジナンバーワンが好調に推移している中、ジー・サカイのある岐阜県から帰路、名神を走っている車中、北野氏との会話です。北野エッジとZDP189の相乗効果からもたらされるパワフルさを最もよく実感するには、どうしてもシースモデルがほしい。これには製作者のみならず、何よりもお客様からの強い要望がありました。

そこでアルティメットハンターの製作となりました。同じ鋼材を使用するため、刃厚はフジナンバーワンと同じ3.5m厚となりました。サイズ違いで、2シリーズ、全6モデルのアルティメットハンターシリーズが出来ました。2サイズ作った理由として、実際に手にとって見て初めて実感できることですが、全長で20m, 刃渡りで15mの違いは数字ではわずかですが、その使用感には数字以上の大きな違いが有ります。特に刃渡り110m~150mほどのサイズのナイフは、わずかなサイズや重量の違いが使用感に大きく反映されます。(私個人の意見としては、刃厚が3.5mmですので,アルティメットNo.3がベストチョイスであると思っています。)数字上ではわずかに見える違いですが、2種類の製作にふみきったのには、実用ナイフとして私たちのこだわりがありました。





製品化されたアルティメット ハンター


折りたたみモデルとは異なり、本格的なハンティング用として、キャンプ用として、シースモデルならではの強度とバランスの良さから来る信頼性の高さは真の多目的ナイフとして優れた物です。アルティメットは最良の鋼材に最適な熱処理を施し、最高の切刃を付けた理想にもっとも近いナイフであるといえます。よくある他のナイフのように、流行りの鋼材に流行のデザインを施し、適当に熱処理が施され、刃先をベタ砥ぎされて販売されているナイフとは、血筋が違います。

ハンドル材はフジナンバーワンと同じようにマイカルタ、スタッグ、そしてデザートアイアンウッドの3種類を用意しました。ヒルトとバットの部分にはニッケルシルバーを使用しています。シースはナイロンシースをアルティメット用に製作しました。

通常は他モデル用に作られたシースを改良して使用しますが、アルティメットには一から製作することとしました。材料に関しては皮製のほうが高級感があるように思われがちですし、そのほうが製作もコストも簡単で安く上がりますが、ここにも私たちのこだわりがありました。

まず皮製のシースは革のなめしの段階で多くの塩分を含むため、どうして錆びの発生の原因となることが懸念されました。また、強烈な切れ味のアルティメットを安全に収めるには、ねじれや曲がりに対して、かなりの強度を持たせることが必要となり、そのためには使用する革や補強材の量が増え、大きく、重くなってしまい、同時に製作コストがかえって増してしまいます。また実際に高級感を出そうとすると、より光沢感の有る素材を選ぶ必要があるため、製品にばらつきがでたり、シースのために販売価格が五千円近く上がる可能性があることなど、実用ナイフのためのシースとしては向いていないと判断しました。



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 スタジオワイズ

そこでナイロン繊維とフォーム系の補強材、シリコンプレートなどを使用したシースを採用することとなりました。私たちは衣料品やブーツの販売で、近年のコーデュラナイロン系の強度と耐久性の高さをいやというほど知っていましたので、実用品としてナイロン繊維は十分な信頼性がありました。シースのデザインや縫製方法には何度もやり直しと試行錯誤を重ね、安全でしっかりした物が出来ました。一見普通に見えるシースですが、実は大変な手間と試行錯誤の賜物なのです。
   


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